ふつうのこおりみず(次男)
今、次男は言葉をたくさん吸収しつつ、舌足らずで使うので、ちょっとおもしろい。
例えば、ごはんの時間なのに食べようとしないので、「まだ食べないの?」と聞くと、「まだ食べる」(「もう食べる」)とあわてて食卓へ来たり、何か悪いことをして、「どうしてそんなことするの!?」と聞くと、「だってたぁ(さ)。」といいながら、それに続く言葉はその理由とは全く関係ない言葉だったり。
間違って発音してしまうものも多い。「カルピス」は、「カピリス」。お気に入りの歌に「クラリネットこわしちゃった」があるのだが、「どーちよ、どーちよ、おー、プッチャマーター、プチャマータ・・・」と歌っている。
だいぶ前のことだが、長男か三男を、耳鼻科か小児科に連れて行かなくてはならず、次男を義妹にみていてもらった。すると、お腹が空いた次男は「おやつ!」とねだり、食料棚をのぞいて、「これがいい」と指さしたらしい。何を指しているのかわからなかった義妹は、「何がいいの?」ときくと、「ふつうのこおりみず」と答えたそうだ。「ふつうのこおりみず?」と聞き返すと、「ちがう!ふつうの こおりみず!」と繰り返す。どうもわからないので、他のせんべいかなにかでごまかしたそうだ。
あとでその話を聞いて、大笑いしながら、私にはすぐにわかったのもおかしかった。次男は「ふつうのコーンフレーク」と言っていたのだ。私にはふだん、「ふつうの コーフレース」と聞こえている。
なぜ「ふつうの」がつくかというと、コーンフレークだけでなく、グラノーラを加えたり、バナナを加えたりすることがあるが、次男はかたくなに、「コーンフレークだけ」を好んでいるので、他のものはいれない、という意味なのだ。
そのお家でしか使えない「言葉」というものがある。「お家方言」とでも言おうか。ふりかけを「ぱっぱ」とか、殺虫剤を「シューシュー」とか。他のお家でいきなり、「シューシュー持ってきて!」と言っても通じないが、家族にはわかる。でも、それはその「家族」が作り上げてきた「文化」ともいえる。これから、三男もしゃべるようになる。きっと、家ではふつうに使っていても、他の人が聞くと変な言葉というのも、もっと増えてくるのかもしれない。