保護者の理解がないことには始まらない

2005年秋、ボーイスカウトの隊長時代に、カブスカウトからボーイスカウトへ上進するスカウトの保護者に宛てた手紙。

カブスカウトからボーイスカウトへの上進の際に、退団していくスカウトが多いことに端を発しています。
原因はそう複雑ではなく、ボーイスカウトとカブスカウトとの交流が行われてこなかったために、子ども・保護者ともにボーイスカウトがなんだかわからない状態でした。

そして、中学受験が重なり、なんだかわからないボーイスカウトは、プライオリティーが下がっていき、「じゃぁ上進しないで退団しよう」という流れがありました。

この手紙のポイントは
「保護者によき理解者になっていただくこと」
「塾や部活とボーイスカウトにプライオリティーをつけないでもらうこと」
「子どもたちが自主的に活動していること」
「ボーイスカウトが人生によい影響を与えること」
「指導者は先生ではなく、成長のお手伝いをする存在であること」
を念頭において書いています。

保護者の皆様へ

カブスカウトからボーイスカウトへ

長いようで短かったカブスカウト課程が終わり、いよいよボーイスカウトとしての本格的な活動へと移ります。カブスカウトからボーイスカウトへの上進は、スカウト本人、保護者、共に期待と不安があることと思います。普段のカブスカウトの活動からでは、ボーイスカウト活動が見えてこないのもその要因ですし、小学生から見た場合、中学生主体のグループに不安を覚えるのも当然だと思います。

ボーイスカウト活動の基本は、「班活動」と「自主性」です。
私たちリーダーは、スカウトの自主性と、班によるグループ活動を支える役割を担っています。
そのため、リーダーが1から10までお膳立てを行い、それに従って行う活動とは全く反対の事を行っています。

今年の夏は、日本ジャンボリーという、全国から2万人のスカウトが集まるキャンプが石川県で行われます。そのためボーイ隊のキャンプは行わないことにしました。ところが、スカウトたちは、キャンプをしたいようで、8月の終わりに班キャンプを計画しています。
私たちリーダーは、計画書が出来上がるまで、どこへ、いつ、誰と行くかは、よくわかりません。
途中、スカウトから相談があれば、いろいろとお手伝いしますが、それまではじっと我慢しています。いま、スカウトたちは、いろいろと計画を考えているようです。
他の団のスカウトたちは、なんと20泊21日のキャンプ計画を行い、隊長に反対され、それでもねばり強く交渉して、1週間を越える(9日間ぐらいだったと思う)キャンプを承認してもらったそうです。

スカウトの自主性は、すべてに優先される事柄として認識していますので、この先憂慮されると思われる、「中学受験」「高校受験」「塾通い」「学業」「クラブ活動」などとの共存においては、スカウト本人の希望により選択されるものと考えています。
ですから、ボーイスカウト活動に夢中になり、その他のことが疎かになることもあるでしょうし、その逆に、ボーイスカウト活動から離れていってしまうこともあるでしょう、しかし、「ボーイスカウト活動に関わっている」ということが、将来にわたってとても大きな糧になっていくことと思います。
この秋からボーイスカウトとして、私たちと共に、心と体の成長をお手伝いすることが出来ればと考えています。

ボーイスカウト隊 隊長

 

スカウトへは、期待を込めて次のような手紙を送りました。

スカウトへの手紙

スカウトへの手紙