1999年4月25日 東京聖マリア教会における解説付き聖餐式の解説文

1999年4月25日 東京聖マリア教会における解説付き聖餐式の解説文

聖餐式解説

山野繁子司祭編

1 (解説者は説教壇で、式の開始直前に解説を始める。)

聖餐式は二つの部分に分けられます。第一部はみ言葉のサクラメントと呼ばれ、主の福音のみ言葉を中心としています。
ここで、わたしたちは世の終わりまで続く信仰の旅をする群れとして、主イエスの旅に同行し、救いのできごととみ言葉を心に刻みます。

2 聖餐式は、司式者とその参与者との入堂の行列で始まります。
会衆は全人類を代表する神の民として、この世界に来られる救い主を迎えます。
入堂の時は聖餐式の参加者が一体となって、これから始まる感謝と讃美の祭りをささげることを表す大切なときです。
聖歌を歌って心を一つにし、礼拝に集中します。

3 参入
主イエス・キリストの臨在を求める呼びかけがすぺての祈りの始めに置かれています。
「主よ、あわれみを、キリストよ、あわれみを、主よ、あわれみを」の祈りと大栄光の歌は主を待ち望み、主をすべての人の救い主として告白するものです。

4 挨拶と特祷
司式者と会衆の間に交わす挨拶は、この礼拝が教会全体でささげているもの(共同の業)であることを確認するものでもあります。
特祷は、全公会(すべての教会)がささげる共通の祈りであり、今この時の思いを集めて教会への導きを神に求める大切な祈りです。

5 聖書朗読と説教
旧約聖書では主イエスに関する預言を聞きます。
使徒書からは使徒たちによる励ましと勧めを受けます。
そして、福音書で、主イエスさまのみ言葉を聞きます。旧約の後には繰り返し歌うことによって、祈りを深める詩篇または聖歌を歌い・使徒書の後には聖歌(昇階唱)を歌います。
これは、福音を聞く準備の時であり、世界に向かって語られる福音に心を高めていく時でもあります。
福音を聞くときは、体を福音に向けて姿勢を正したいものです。
説教は2000年前に語られたみ言葉を現在のわたしたちが福音として受け止め、福音に生きるものとしての励ましを分かち合うときです。

6 ニケア信経
教会としての一致した信仰告白を唱えることによって、わたしたちが主の福音の証人として生きること、生活を神に委ね、ささげることを決心します。

7 代祷
全公会のため、また全世界の人々のために祈ることは、教会の大切な務めです。
主イエス・キリストのあわれみの中に、教会と世界の必要を委ね、親しい人々、病いや困難にある人々を覚え、世を去った人々の平安と彼らとの交わりを求めます。

8 懺悔と謝罪
神様のみ心を行うことから遠く道を踏み外しているわたしたちの現実を素直に認め、神のみもとに立ち返る力をいただくための大切な祈りです。
教会としての共同の懺悔でもあり、個人としての懺悔でもあることを覚えたいと思います。
与えられる赦しをを恵みとして受け入れ、新しい出発に向かう力を祈り)求めます、これは第2部への準備でもあります。

9 平和の挨拶
ここから聖餐式の第2部、聖餐のサクラメントの部分が始まります。
全教会とすべての人々が・復活のキリストによって和解と信頼に結ばれ、平和に生きることができることをよろこぴ、感謝をもって挨拶を交わします。

10 奉献
ここで祭壇にパンとぶどう酒をささげます。
それはわたしたちの生活のすべてを神にささげるしるしです。
奉献の呼びかけがあり、期節による奉献唱が唱えられ、聖歌を歌いながら、献金をささげます。
神の国に向かって皆で行進していく勇気を新たにしながら、またこれからささげる聖餐のサクラメントに心を集中させていくときでもあります。

11 感謝聖別、序唱、三聖唱
司祭と会衆の応答によって、聖餐式の中心部分に入っていきます。
神の人間への愛と救いの働きを歌い、エルサレムに入城された主を今ここに迎え、共に主の晩餐にあずかるのです。

12 聖別祷、主の祈り
主ご自身が招いてくださるこの晩餐の席で、パンとぶどう酒の形を用いて主の体と血の恵みをいただくことは、わたしたちが神のいのちの中に生きるものとして、主と一体とされ、新たないのちによって強められることです。
主の祈りは、主イエスご自身がわたしたちを導き、共に祈ってくださるいのりです。
すべての祈りは主の祈りによって支えられています、パンが裂かれ、十字架に表されるキリストの愛と犠牲によってすべての人が和解し一致を与えられることを願います。

13 近づきの祈り、神の子羊、陪餐
聖餐の尊い意味を改めて明らかにする近づきの祈りと、もっとも古い聖歌である「神の子羊」を歌い、祭壇に近づきます。
これは陪餐への最終的な準備であり、いよいよわたしたちの心の中に主をお迎えするのです。
十字を切って(額から胸へ、左肩から右肩へ)両方の手を重ね、パンを受けます。
聖杯は下から軽く支えて加減します。
いただいたら、静かに感謝の祈りをささげながら席に戻ります。
なお、聖餐を受けない人も、司祭の祝福の祈りを受けて、心の中に主をお迎えしましょう。

14 感謝、祝福
祭壇では食事の後片付けが行われています。
続いて聖餐によって与えられた神さまのいのちの恵みに感謝し、神と人々に仕える力が増し加えられますように祈ります。
主イエスが今も教会と一人一人を見守り、祝福してくださっていることを覚え、司祭の祝福の言葉を十字を切って受けます。
キリストに従うものの群れとして互いに励まし合い、ハレルヤを歌ってそれぞれの生活の場へ主と共に送り出されます。