チーム作り

ボーイスカウトでリーダーを務めるときに一番丁寧に実施してきたこと、それはチーム作り。

日本語で「仲間」と表現すると違うと思う。
「仲間」という表現でイメージするのは「仲良く」「力を合わせて」「元気良く」という「仲間」ではないかと。
このイメージする「仲間」を実現するために、多くの子どもたちスカウト達は苦悩し、傷つき、辞めたいという感情が熟成されてくる。
リーダーが「仲間」というチーム作りを進めれば進めるほど、この苦悩が多くなり、その状態になじめないスカウトの保護者からは不信感が生まれてくる。

一人ひとりの個性が認められない仲間。
協調性と同調性、その結果の排他性は中々気づかない。

なぜ気がつかないのか、去って行く人はその理由を明確に述べないからだ。
チーム作り

ボーイスカウトを実施するにあたり、様々なチームが存在する
その大前提に、
リーダーは旗を振って元気良くスカウトを率いて活動するのでは無く、
リーダーは、スカウトの自発活動を実施できるように支える存在である事。
という立ち位置を自覚することから始まる。

・スカウト同士
・保護者同士
・保護者とリーダー
・リーダー同士
・リーダーと団委員
・そのほか、、、

「スカウト同士のチーム性」

「仲良くする」という思考を排除すること。
一人ひとりの気質や個性を最大限伸ばせる環境を整えて、自分の得意なことでチームに貢献できるように支援する。

全員が全員、同一技能を身につける必要は無い。

例えば、
ロープが出来ないスカウトにマスターさせるまで努力させる必要は無い。
得意なスカウトを見つけるか、得意スイッチを持っているスカウトを発掘して、ロープ好きに育てる。
チームにその1人がいれば、スカウティングにおいて困ることはない。

薪でご飯を炊く、おかゆや焦げ飯を食べさせているようじゃリーダーとして失格と言っても良い。
料理好きのスカウトを育てる。そして丁寧に飯炊きを教えて完璧に育てる。

読図、鉄道マニアのように地図に興味を持つスカウトがいたらラッキー。
何も言わなくても勝手に覚えてくる。

それぞれの得意分野をできる限り延ばして、突出させるようにリーダーはフォローしていく。

チームとしての完成度は相当高くなる。
全員を育てようとすると高い水準で平準化せず、低いところで平準化してしまい、その結果、ただの集団にしかならない。

何も出来ないスカウトの存在はどうするのか。
現実に何も出来ない(と思われている)スカウトは存在する。
そのスカウトは本当に何も出来ないのか?
経験則でしかないが、それぞれの得意分野を延ばしていくと、何も出来ないスカウトというのは次第に無くなってくる。
辞めてしまうのでは無く、自己主張が出来る環境の中で、自分で出来る事を見つけて伸びてくる。

個性のある職人が勝手に育ってくるという感覚。
一度この仕組みが回り始めると、上級スカウトの活躍を見て、下級スカウトも自然と得意なものを見つけて活躍を始める。
こうなれば、リーダーはスカウトに付いていくだけで良くなり、スカウトのサポーターとして働くことが出来る。

生き生きしたスカウトの姿というのは、「大人が指示してキビキビと働く姿」では無く、自発的に好きなことを好きなだけ実行している姿だと思う。

この姿を見て、保護者は学校や学校中心の友人関係とは少し違うスカウティングに安心していただき、さらなる発展へとつながっていく。

「保護者とリーダー」

とにかく保護者には意見をしないこと。
どんなに正しいことだとしても意見をしないこと。
「スカウティングとはこうだから従ってください」「あなたの意見は間違っています」
「私には出来ないので、意見しないでください」
など。

保護者の意見には丁寧に耳を傾けること。
意見というのは、自分には気がつかないこと、無かった部分を気がつかせてくれる貴重な気づきです。

「保護者の話しを聞いていると切りが無い」
と言われる方がいますが、「鵜呑みにして実施する事」とは話が別です。

保護者の意見を否定する理由というのは、ほとんどの場合存在しないのです。

否定する理由というのは、自分を否定されることに対する拒絶反応なのです。
保護者の話しを聞き、寄り添い、子どもたちの心の揺らぎをキャッチできれば、スカウティングを行うのにこれほど重要な情報は無い。

保護者の意見をどれだけ聞き入れ、それを踏まえた活動が出来れば、スカウトを中心としたリーダーと保護者の三者の強固なチームが築け、素晴らしい活動につながっていく。

 

「リーダー同士」

隊長を中心としたチームだが、隊長というのは副長や副長補、デンリーダーや他のリーダーが、それぞれの役務を実施できるようにサポートする役割だと理解している。

隊長が元気良くスカウト達を仕切り、活動の中心にいるというのはスカウティングには馴染まない。

隊長はとりまとめ役になり、他のリーダーが自発的に喜びを持って参加できる環境を用意出来るかが、隊長の能力として大事な部分。

スカウト自身も好き好んで参加していなかったりしているなか、リーダーでさえ時間を作り奉仕するのに、単なる頭数や労力提供だけではだれも付いてこない。

その上、リーダー自身が趣味としてスカウティングに関わっているというのは致命的である。
隊長は、他のリーダーの意見を良く聞き、その意見が実施できるようにサポートできる姿勢が大事である。

副長やデンリーダー、副長補たちが、スカウトのサポーターとしてスカウト達に寄り添うような姿勢で関われば、スカウト自身がリーダーの役割を理解し、活動が活発になっていく。

 

これらの関係性は瞬時に出来ることではないが、だからといって何年もかけていては、今いるスカウトたちは享受できずに成長してしまう。いかにスピーディーに関係性を築きチームビルドを行うか。これが隊長の役務ではないだろうか。

プログラムや活動をどれだけ一生懸命こなしても、バッチを沢山配っても、仲良し仲間ではないチームビルドが出来なければ、スカウティングの本質には近づけない。