「多彩」 ミカエル・タイムス巻頭言 2024.07.01
神との契約の象徴として聖書には数カ所だけ虹が登場します。
光の現象である虹はなぜ虫“へん”なのでしょうか。
中国から来た漢字であり、虹は生き物だと考えられていたことが理由だそうです。
蛇や竜の仲間のイメージを持っていたようです。
古代ギリシャでは紀元前300年頃まで、中国では西暦1000年頃まで、日本では西暦1200年ごろまで生き物だと考えられていたようです。
中世の神学・哲学を学んでいたスコラ学者たちは、神との約束の象徴である虹について研究を進め、神の探求をしていた様子がうかがえます。
さらに時は進み、虹の研究の結果、万有引力の法則を発見したアイザック・ニュートンによって、虹の色が5色であることを発表します。
ところが、一色一色の色の幅が違う事に気がつき、音楽の七音階ドレミファソラシドの音階が平均になっていないことと重ね合わせて、虹の色を7色と発表しました。
7色の根拠が科学的じゃないということが興味深いです。
後に、音階と重ね合わせた7色の説は否定されます。
わたしたち日本では虹の色は7色だと考える人が多くを占めていることでしょう。
世界に目を向けるとアメリカやイギリスでは6色、ドイツや中国では5色と捉えています。
科学的根拠を持って虹の色を定義する場合は6色とするのが一般的のようです。
日本の高校物理の教科書は6色と教えています。アップデートが必要そうです。
6月はレインボープライド月間でした。
セクシャルマイノリティー(LGBTQ レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クゥイア、さらに+を加えて多様な性のあり方を示す表記もある)当事者、また支援者たちによってこの社会から差別や偏見を無くそうというムーブメントが世界中で行われていました。
世界のいくつもの教会ではレインボーフラッグを教会の前に立てて、社会から差別や偏見を無くす働きに共感を示していました。
日本でも多くの企業が協賛・協力に名を連ねています。
多様性が認められる社会が一日も早く実現することを願います。
日本聖公会では祈祷書改正の準備が進められています。
多様性を意識した改正がなされることはすでに聞いていました。
先日行われた改正委員会の報告会では多様性から多彩というあり方を模索しているという話しを伺いました。
多様と言ったときに、ある様態の集合がいくつかあるという制限性がぬぐえないようです。
多彩と表現した方が、一人ひとりのあり方を尊重するにふさわしい表現ではないかと思われるとのことです。
LGBTQを表現する象徴がレインボーフラッグであるのはわたしたち一人ひとりが多彩であることの象徴でもあります。
イエスは多彩な人々とともに歩み、社会の差別や偏見からの解放を行ってきました。
わたしたちキリスト者が希望の光を灯す灯台であり羅針盤(聖公会のシンボル)であるならば、多様性から多彩へ、社会の一歩も二歩も先を歩み、多彩な人々の豊かな幸せを実現するためにイエスとともに歩ん
でいきたいと思います。