東京教区時報 2010年5月16日 記事

東京教区時報 第1165号  2010年5月16日発行
日本聖公会東京教区

≪み手のなかで≫

「天の神様の言うとおり」  宮田裕三

終電を待つ地下鉄の駅、いつものようにホームで立っていた。
列車が近づき、至近距離になったとき、列車に飛び込む自分の幻影が見えた。
我に返り、数歩ばかり後ろに下がった。うつ病になったことを認識した瞬間だった。
我に返ることがなければそのまま自殺をしていたのかもしれない。
仕事を辞めストレスから開放されても、体に現われる症状はすぐには改善されない。自らをコントロールできるようになるまでは、トンネルの中を歩いているようだった。
4人の小さな息子たちは止まることなく日々成長していく。
息子たちは将来の夢を語ることがある。
「科学者になりたい」「ゴセイジャーになるんだ」
息子たちとゆっくり会話をすること、一緒に食事を取ること、一緒にお風呂に入ること。ほとんど出来ていなかった。
この春から保育園の保育料が最低収入層になり、経済的に成り立っていない事実を突きつけられている。
それでも生活が出来ていることは妻の努力に他ならない。
最近は3歳の息子が食前の感謝の祈りを捧げている。
「天の神様の言うとおりアーメン、いただきます」手遊びの一節だが素敵なお祈りだ。
毎日この小さな祈りを聴きながら、自分が生かされていることを感謝し、妻に感謝し息子たちに感謝し神に感謝している。
人と出会い神と出会い、そして生かされている毎日を大切に生きていきたいと思っている。

(東京聖マリア教会信徒)